9月の北海道研修が無事におわりました。
今年は6月に北海道小児歯科医会様の主催で講演を行ったので、今年2回目の札幌訪問となりました。今回は岩寺先生の歯科医院の職員向け研修と歯科医院での小児臨床、桜田先生の職員向けの研修、そして口腔研修を行いました。札幌だけでなく、網走、千葉、横浜からも参加頂きありがとうございました。
北海道で行う集合研修はいつも1週間かからず、20人定員がすぐキャンセル待ちになってしまうため、参加できなかった方には申し訳ないなといつも思うのですが、また10月も札幌には理学療法士の稲福陽子さんとの共同講演(先着100人)で訪問しますので、その時にお会いできるのを楽しみにしております。
沖縄県での研修のように、北海道でも研修と臨床を繰り返し行いましたが、1つの地域に5日間滞在したのは今回が初めてのことでした。とてもハードでしたが、実際に臨床場面も見ていただくことで、必要なアセスメントの視点をしっかり共有できたと思います。
さて、来月から高知、札幌、そして東京と続いていきますが、9月最後の研修企画は福岡で開催するPT×STコラボ研修になります。
アセスメントこそ私たちの武器である
特にオンライン研修を行った時、
「〇〇に対してどんなことをしたら良いですか」
と質問を受けることが多いです。
この場合の回答は決まっています。
何をすべきかは「アセスメント」です。
現代の赤ちゃん、子ども達のことを理解するためにはアセスメントが必要です。
各地域で行う研修の目的の一つは、必要なケア方法を覚えることではなく、必要なアセスメント項目(口腔・上下肢・体幹等)を理解することにあります。
*もう一つの目的は、その地域で多職種(リハ職、歯科、助産師等)が繋がり、連携のキッカケを作ることです。
・口腔周囲筋が関わる活動(食べる・話す)であっても、身体からの影響を強く受ける因子があります。
・口腔周囲筋の特徴的な課題から上下肢の筋緊張等へ影響を及ぼす因子もあります。
・定型群であっても10歳代後半にかけて口腔と身体の機能が徐々に低下していく因子もあります。専門職であればこれは見逃してはいけません。
*10歳代後半にかけて機能が低下していくということは、新卒のセラピスト含め、専門職の方のなかにも影響がでている方がいるということです。
私たちは、現代の子どもや成人の方の口腔と身体の状態を理解するために必要なアセスメント項目を理解し、担当した早期に現状を確認できる必要があります。
特に改善した機能が戻りやすくなる因子、徐々に悪化していく因子をアセスメントできることは必須スキルだと考えます。
また、ケアやトレーニング中もアセスメントを同時進行で行います。
歯科医院でよく出会う「お口が閉じにくいお子さん」、「歯磨きがしにくいお子さん」、「転びやすいお子さん」に対して行うことの多い、研修中にお伝えするケア方法も、必ずアセスメントの意識を持った状態で行います。
専門職が行うものにアセスメントを伴わないケアやトレーニングはありません。
単純な舌の前後運動、左右運動であっても、口唇周囲筋、眼球運動、下肢など舌以外が過剰に活動していないか常に観察しておく必要があります。もちろん舌運動の際、舌に注目したアセスメントも行います。例えば舌の前後運動の際、過剰に奥舌の緊張を高めながら舌を動かしていないか確認します。
現代の赤ちゃん・子ども達、成人の口腔と身体の特徴を理解する
上記のような視点でアセスメントを行っていると、頻繁にチェックがつく口腔・上下肢・体幹等の項目の傾向が見えてきます。それらをまとめたものが歯科医院等で使っている口腔・身体アセスメントシートになります。
特に今の若手のセラピストや支援者の方々の一定割合は、歯科医院で出会う子ども達と同じ口腔と身体の課題を持ったまま専門職になっていることがアセスメントを通して見えてきます。
現代の口腔と身体の傾向を知っていれば、入職時にアセスメントを行い、臨床にでる前に解決しておくこともできるでしょう。このことは現場に出た際の事故防止にも繋がると考えています。
自分が獲得した機能を知る
理学療法士の小松さんと全国をまわりながら行っているコラボ研修では、研修が始まる前に、受講者全員の口腔機能評価(日頃、歯科医院で行っているアセスメント)を行っています。東京会場などは人数も多く、20人程の方を研修開始前の20分くらいでアセスメントしていくのですが、そうすると受講者の現状が分かり、わたし自身も勉強になります。
一般的にSTさんや歯科の先生方が行うアセスメントとは異なる内容ので、気付いていなかった自分の苦手なところ、得意なところが見えてくると思います。
今度の福岡研修の際は受講者1人にかけられるアセスメント時間が少し長くとれそうなので(1人3分くらい)、歯科医院で行っている口腔アセスメントだけでなく、上下肢評価くらいは追加でできるかなと考えています。
最低限、歯科の行っている上下肢チェック、舌の機能チェックを行えば、機能悪化因子の有無には気付けます。参加者の方で、そのような因子を持っていた場合は解決策の提案まで行いますのでご安心ください。
また、口腔と身体を両方アセスメントし、その関連を分析してみると良い気付きが得られると思います。例えば上下肢も口腔内も右側の緊張が高いといったパターンは分かりやすいですね。
実際に自分の口腔と身体のアセスメントを受けた上で、
脳血管疾患の方へのリハビリテーションに強いPTの小松さんから、身体の触り方、そして身体から口腔への影響について講義と実技を行い、
午後は僕から赤ちゃん、子ども達の口腔機能から見える現代の課題と、食べることを支える口腔周囲筋のアセスメント、口腔から身体への影響について講義と実技を行います。
写真のようにSTさんが口腔周囲筋の緊張を緩めている際、PTさんが下肢の筋緊張をアセスメントして、口腔周囲筋の変化と下肢の変化を共有したりもグループ実技で行います。
赤ちゃん、子ども達、そして高齢の方
年齢関わらず共通してみていける考え方を共有していきますのでお楽しみに。
僕が今年度3月までに行う福岡での研修は小松さんとのコラボ研修のみです。
4年ぶりの福岡での研修開催になりましたが、来年度以降の福岡開催も特に決めてない状況です(福岡以外の熱心な先生方からのご依頼を優先的に受け入れているため)。
興味のある方はこの機会にご参加ください。
申込みはこちらから➡ 申込みフォーム
個人的には小松さんのハンドリングはぜひ体験してほしい。
小松さんのハンドリング記事もとっても分かりやすいです。
タッチの技術を磨きたいのであれば、小松さんのような良いタッチを受けることから始めるのもおススメです。
多職種で一緒にアセスメント
過去に高齢者のリハビリテーションに関わっていた時も、いま赤ちゃん・子ども達をみるときも、多職種で一緒にアセスメントを行うことが私自身多いです。
口腔と身体を1人でアセスメントしようと思ったら、慣れない内は大変で、やはり多職種でディスカッションしながら一緒にアセスメントが行える環境が定期的に作れると成長のスピードも加速すると思います。
実際に研修で多職種で一緒にアセスメントや触れる練習を行い、アセスメント力を磨いていきましょう。